1.抗がん剤治療の目的

内服や注射によって全身に抗がん剤を行き渡らせることです。

これによって全身に広がる可能性のあるがん細胞やすでに他の場所へ転移しているがん細胞、全身に広がっていると考えられるがん細胞を減少させることを目的としています。

また、がん細胞を減少させ、病気の勢いを抑えることを目的とすることもあります。

2.治療の方法

(1)抗がん剤の種類(細胞障害性抗がん剤)

細胞の分裂機構に作用して細胞の増殖を抑える薬です。

がん細胞の多くは正常な細胞よりも活発に増殖するため、様々ながん細胞に対して治療効果が期待されています。

しかし、正常な細胞であっても増殖が盛んであれば薬が作用してしまうため、副作用が出やすいという欠点があります。

(2)使用する薬剤

・パクリタキセル(T)

がん細胞の分裂を抑える

・カルボプラチン(C)

がん細胞のDNAの合成を抑える

(3)抗がん剤の投与方法

静脈注射

(4)投与間隔、投与期間

・投与間隔 1サイクル3週間

・投与予定サイクル 6サイクル

体調や病状によって治療期間や内容が変更になる可能性があります。

3.治療で起こりうる副作用について

(1)悪心、嘔吐、食欲不振

胃がムカムカしたり食欲がなくなったり、吐き気が出ることがあります。

治療して24時間以内に起こる急性のものと、治療後2~7日目に起こる遅延性のものがあります。

食べられない時や嘔吐が続くときでも、脱水症状を防ぐために水分を摂ることが大切です。

(2)アレルギー症状

点滴中に息苦しさ、体のかゆみ、皮膚に発疹、冷や汗など薬の成分によるアレルギーが現れる可能性があります。

点滴治療を中断したり、症状が改善してからゆっくりの量で点滴を再開する場合があります。

(3)便秘、下痢

症状は治療開始後1週間以内に起こることが多いとされています。

水分を多く摂るようにしましょう。

必要に応じて下剤で調整することがあります。

(4)口内炎

抗がん剤そのものによる障害と免疫力低下に伴う感染症によるものがあります。

予防のためにうがいや歯磨きをして、口腔内を清潔に保つことが大切です。

(5)脱毛

化学療法開始2~3週くらいから抜けはじめます。髪の毛以外の他の体毛でも同様におこります。

すべての治療が終了後1~2ヶ月で再生が始まることが多いです。

(6)末梢神経障害

指先や足先からはじまり、しびれ、筋痛、関節痛、下肢の痙攣やぴりぴりした痛みが出ることがあります。

治療が終わっても痺れが回復するまでには時間がかかります。

(7)骨髄抑制

・白血球減少

治療を開始してから10~14日目に白血球数が少なくなり、通常は次の治療が始まるまでに回復するといわれています。

白血球が減少すると細菌に対する防御能力が低下し、発熱や感染が可能性があります。

日頃から手洗いうがい等の感染対策をし、白血球が少ない時期は人混みを避けましょう。

・血小板減少

歯肉からの出血、血が止まりにくい、痣が出るなど出血症状が出やすくなります。

血小板の数値が低い時期は怪我をしないように気をつけてください。

・赤血球減少

めまいやふらつき等の症状が出ることがあります。

(8)肝障害

ほとんどがの場合は無症状で、血液検査にて肝機能の数値の異常としてみつかります。

肝障害が進行すると、だるさ、吐き気や嘔吐、食欲不振、発熱、黄疸、手のふるえ等の症状が自覚されます。

(9)腎障害

血液検査にて腎機能の数値の上昇を認められます。

腎機能障害や蛋白尿、浮腫が起こる場合があります。

4.最後に

上記以外の副作用が起こる可能性はあります。

また、それぞれの副作用に対して必要に応じてお薬を使うことがあります。

この記事は病院で配布された資料と、主治医からの説明をもとにしました。